シドニー(Sydney)の西約100kmにあるブルー・マウンテンズ国立公園(Blue Mountains National Park)。1000m級の山々がそびえ、変化に富んだ景観が目を楽しませてくれる。シドニー郊外の人気行楽地である。
 この国立公園の入口に位置するカトゥーンバ(Katoomba)は、風光明媚なリゾートタウン。“オーストラリアのグランドキャニオン”と称される“ジャミソン峡谷”や、奇岩“ザ・スリー・シスターズ(The Three Sisters)”などの見どころがたくさんある。
 1994年1月3日早朝。シドニーでのNew Yearを楽しんだ我々は、一路内陸を目指した。オーストラリアの星空を楽しむためだ。ただし、それだけではもったいない。オーストラリアの雄大な大自然を心置きなく楽しみたい。そこで選んだのがブルー・マウンテンズ国立公園だ。
 シドニーを出てしばらくすると、やがて緩やかなカーブの続く山道に入る。道に平行して鉄道が走る。列車は日本に比べて桁違いに長い。数kmはあろうかと思わせる。
 やがてクルマはカトゥーンバ(Katoomba)に到着。途中で降り出したにわか雨も上がり、見事な虹が我々を出迎えてくれた。
  エコー・ポイントにて
 カトゥーンバ(Katoomba)の前に、まずは腹ごしらえ。“Tom's Eats”というTake awayの店でハンバーガー,フライドポテト他を入手。オーストラリアのハンバーガーはとにかく大きい。直径は約15cm。
 車内で食事を済ませ、エコー・ポイント(Echo Point)へ。ここは眼下に広がる峡谷を一望できる絶好のポイント。観光案内やみやげ物店もある。
 左写真は、エコー・ポイントから望んだ、奇岩“スリー・シスターズ”の遠景。
 
ザ・スリー・シスターズ
 奇岩“ザ・スリー・シスターズ(The Three Sisters)”は、ブルー・マウンテンズのシンボル的存在。原住民アボリジニにまつわる伝説が残っている。
 昔々、3人の姉妹と父親が幸せに暮らしていた。ある日、食料を得に山に向かったところ、洞穴の中で眠っていた魔王を起こしてしまった。父親は姉妹を守るために、魔法の骨で3人に魔法をかけ、岩にした。怒った魔王は父親を追いかけたが、父親は自分にも魔法をかけ、鳥に変身して難を逃れた。ところがその途中で魔法の骨を落としてしまった。父親は鳥の姿のまま、今でもその骨を捜し続けている……。
 “3姉妹”のうちの、一番手前の岩まで行ってみた。すごい高さにすごい強風。おまけに遊歩道の足元や手すりは今にも崩れそうな状態。思わず足がすくむ。ただし、眺めは絶景!! 峡谷は極めて深く、木々の陰影が遥か遠方に落ちる。
カトゥーンバ滝
 エコー・ポイントから数百m西に、カトゥーンバ滝(Katoomba Falls)がある(左写真)。この滝を正面から眺めるのには、空中ケーブル(Scenic Skyway)を利用するのがよい。ただし、単純な往復だけ。
 サイクロマ・ポイント(Cycroma Point)が発着場。眼下に広がる樹海を楽しむのにも迫力満点。何しろ地上500mのところを、いかにも貧弱な(手すりは木製)ロープウェイが往来するのだから。高所恐怖症の方にはお勧めできない。滝にかかる虹が非常に美しかった。
 ちなみに“カトゥーンバ(Katoomba)”とは、アボリジニの言葉で「水が丘から落ちる」の意。
  トロッコ列車
 空中ケーブル(Scenic Skyway)に隣接して、トロッコ列車(Scenic Railway)がある(右写真は峡谷内の到着地点)。やはりサイクロマ・ポイント(Cycroma Point)からの出発。見た目には大したことは無いのだが、実際に乗ってみると、これがなかなかの迫力。貧弱な造りで振動が激しく、おまけに世界最大の急勾配(41度)を誇る。まるでジェットコースターのようで、手すりも無い。わずか数百mながら、断崖絶壁を一気に落ちていく雰囲気。
 下に降りたら、ブッシュ・ウォーキングをするのもよい。滝を見に行ったが、なかなかの美しさ。
 
ジェノラン鍾乳洞へ
 1994年1月4日。カトゥーンバから西へ約80kmにあるジェノラン鍾乳洞(Jenolan Caves)へと足を伸ばした。のどかな道を約1時間。街道に面した牧場には牛や馬,羊たちの姿がここかしこに。
 この年のこの時期、東部オーストラリアは極度に乾燥しており、野火の危険性が極めて大。道端には乾燥の度合いを示す警告板が用意され、この辺りを訪れる者たちに注意を促している。
 実際、この頃シドニー近郊では、野火(Bush Fire)が深刻化しており、たくさんの野生動物(コアラなど)や一般の家屋が火にのまれていた。
 
 ジェノラン鍾乳洞への道は、そのまま内部まで続いており、駐車場もその先。
 鍾乳洞の内部は、外と違って寒い。規模がたいへん大きく、鍾乳石や石筍,カーテンなどが非常に美しい。トイレまで鍾乳洞の一部のようである。
 案内役のおじさんは陽気で楽しい。ただし、すべて英語の解説で言葉が速いため、所々しか解らない。所要時間は1時間半ほど。

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