エアーズ・ロック

エアーズ・ロック(Ayers Rock)
 アリス・スプリングス(Alice Springs)の南西約470km,車で約6時間のところにあるエアーズ・ロック。世界最大の一枚岩と言われるそれは、周囲約9km,高さ342m(頂上の海抜は867m)で、オーストラリア大陸のほぼど真ん中にある。「地球のへそ」と呼ばれる所以である。荒涼とした砂漠の中に忽然と姿を現す。原住民アボリジニにとっての聖地となっている。
 時間によって七色に変化すると言われ、とりわけ朝,夕の色のうつり変わりは感動モノ。大自然への畏敬の念を抱かずにはいられない。
 せっかくオーストラリアまで行くのなら、是非とも訪れて欲しい。人生観が変わるかも……。
 写真は、夕刻、サンセット・ビュー・ポイント(Sunset View Point)より撮ったもの。「エアーズ・ロックが燃える」と言われる光景は見逃せない。
 左右の画像は、エアーズ・ロックの部分拡大。地殻変動により、岩盤をつくる地層が垂直に近い状態に立っているようすがうかがえる。砂岩の互層の柔らかい部分と硬い部分が、独特のギザギザを形づくっている。
 ビデオ画像をキャプチャし、画像処理を施してある。
空から見たエアーズ・ロック
 パース(Perth)からアリス・スプリングス(Alice Springs)へと向かう国内線旅客機の中から撮影した、エアーズ・ロックの上空からの様子。
 全体的なイメージとしては、野球のグローブのような印象を与える。上空を通過する際、パイロットがローリングしながら飛行し、飛行機の窓から見えるようにしてくれた。最初は、「えっ!? まさか墜落するの?」とビックリしたが、機内放送で説明があり、ホッと一安心。機内は、しばしの興奮ムード。ただし、席を立つことは出来ず。片側2列シートの小型機ならではのサービス。
 かなりの上空から二重の窓越しにコンパクトカメラで撮ったため、コントラスト,解像度ともに悪かった。左写真は画像処理してある。
     
エアーズ・ロックの周囲
 エアーズ・ロックの周囲は風化と侵食が激しく、かなりゴツゴツした感じ。その赤い岩肌を見ていると、「アウト・バック(Out Back)にいるんだ!」という実感が沸いて来る。
   
 エアーズ・ロックの周囲には、何箇所かにアボリジニによる「ロック・アート」が残っている。カンガルーやエミュー,人物の姿などさまざま。太古の昔を偲ばせる。
     
 筆者がこの地を訪れたのは、12月下旬。南半球では夏真っ盛りである。エアーズ・ロック周辺には、これと言えるほどの「日かげ」が無い。文字通り砂漠の真ん中であり、木々の葉もご覧の通り。足元に小さな草花を見つけることも出来るが、その花弁はパリパリに乾燥しているようで、まるで天然のドライフラワー。写真右の黄色い花は、カイガラソウ(貝殻草)(?)。なお、ワイルド・フラワーを摘み取ると、A$2,000の罰金。
 それでも周囲を散策してみると、左写真のような泉を見つけることが出来る。驚いたことに小さな魚が泳いでいたりする。自然ってすごい!
 木陰を探して一休みしていると、何やら……。見ると一羽の鳥が木の枝にとまっているではないか。ハトよりもひとまわり小さいくらいのその鳥は、我々が近づいても逃げる気配すら無い。人間を恐れないのか、それともそれほどまでに暑いのか。
     
エアーズ・ロックに登る

 エアーズ・ロックの登山口の岩肌には、写真のようなプレートが埋め込まれている。実はこれ、登山中に滑落して亡くなった人たちの「記念碑」なのだ。これから登るというときに目にすると、さすがに気持ちが引き締まる。
 登山の所要時間は、登り下りの往復で約2時間もあればOK。
 エアーズ・ロックの登山道は、西側に1ヶ所だけ。始めは写真のような鎖場で、これを伝って登っていく。その後傾斜が緩やかになっていく。ただし、油断は禁物。岩肌は結構滑りやすい。間違ってもサンダルなどの履物で挑戦してはいけない。
 必需品は、なんと言っても帽子と飲料水。水は一人あたり2リットルくらいあっても良い。とにかく空気が乾燥している。脱水症状は命取りだ。筆者はペットボトルに水を入れ、小型リュックに入れて携行した。これなら不意のケガ等の際にも使える。
 登山はなるべく午前中。出来れば早朝が良い。日中は日差しが強過ぎて、登山には過酷。何しろ日かげが無いのだから。

 写真手前には筆者の影とつま先が写っている。また遥か遠方にマウント・オルガ(Mt.Olga)が見える。
     

 頂上には、そこが頂上であることを示すプレートがあるだけ。しかし景色は素晴らしい。
遠くにマウント・オルガ(Mt.Olga)やマウント・コナー(Mt.Conner)を望み、雄大な大自然を感じることが出来る。

頂上にあるプレート。中にノートが用意されており、登山記念に署名を残すことが出来る。

 エアーズ・ロック頂上から、遥か遠くにマウント・オルガ(Mt.Olga)を望む。エアーズ・ロックの方が有名だが、実はこのマウント・オルガの方がはるかに巨大だ。エアーズ・ロックからの距離、約30km。
   
エアーズ・ロックと星空

 1992年12月29日、日没後しばらくして撮影。エアーズ・ロックをシルエットに、オリオン座,おおいぬ座,カノープスが昇る。

 1992年12月30日未明、サンセット・ビュー・ポイントにて撮影。エアーズ・ロックの上にさそり座が横倒しに昇って来る頃、地平線付近が赤く染まり出す。

 サンセット・ビュー・ポイントにて記念撮影。実はこの晩、観測中に野犬の「ディンゴ」が出没。アスファルトの路上を近づいて来る足音が聞こえ、懐中電灯を向けると、何やら光るものが2つ。ディンゴの眼であった。3mほどの距離をおいて立ち止まり、数分間のにらみ合いとなった。人を襲うこともあると聞いていたから、緊張した。その後、再び暗闇の中に消えて行った……。

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