キングス・キャニオン

 ユララ・ツーリスト・リゾート滞在3日目。キングス・キャニオン(Kings Canyon)へとクルマを走らせた。片道約200km。3日前にアリス・スプリングスから走ってきた道を、一部逆走することになる。


 ユララ・ツーリスト・リゾート滞在3日目。朝6時30分ごろに、ホテルを出発し、キングス・キャニオンに向けてクルマを走らせた。実は前日の晩からこの日の明け方まで、筆者はエアーズ・ロック脇での天体写真撮影に没頭。ホテルに帰ったのは、なんと6時。わずか15分程度の仮眠のみという、強行手段に出た。
 キングス・キャニオンは、ユララから片道約200kmほどの距離。クルマの運転をパートナーに任せて(左写真)、筆者は後部座席で仮眠。
 行程の3分の1ほどのところで、再びマウント・コナーにお目にかかった。3日前にここを通りかかったとき、「エアーズ・ロックか!?」と、早とちりしてしまったことが思い出される。よく見ると全然違う。クルマを降りて休憩のかたわら、道端の高台に上って写真を1枚。
 足元に目をやると、可憐な花が一輪。砂漠の真ん中で、何と言う生命力。気持ちが慰められる……。
 行程の半分ほど走ったところで、舗装道路とはお別れ。キングス・キャニオンへと向かう道へと曲がってみると、そこは赤茶けたダート道。その道の伸びる先には、大きな“逃げ水”が。アウト・バックのドライブらしくなり、ドキドキするような、ワクワクするような……。なるべくなら4WDが欲しいところ。
 途中で見かけた木々。よく見ると、幹の表面が炭化しているものがある。どうやら野火があったらしい。オーストラリアでは、山火事などのことを“ブッシュ・ファイヤー”と呼んでいる。これにより植生が更新されるという面もある。ある種の植物は、炎に焼かれて初めて発芽できるようになるものもあるとか……。太古の昔から繰り返されてきた、大自然の営みだ。
 空は抜けるような青。赤茶けた大地や、木々の緑との対比が美しい。どこを切り取っても絵になる風景。
 木々の間には、時折右写真のような蟻塚(アリづか)を見かける。これはまだ小さい方で、大きいものは人の背丈を越えるものさえある。

 かくしてキングス・キャニオンに到着。深い峡谷の両側には、幾重にも重なった地層の1枚1枚が見える。数億年,数十億年にもおよぶ時間をかけ、かつて海の底だったところに地層が堆積し、やがて陸地となり、谷を刻まれ、今我々の目の前にその歴史の断面を見せてくれている。時の流れを感じるひととき……。
 筆者は観光ルートを歩きながら、密かに化石を含んだ転石を探したが、残念ながら発見には至らなかった。






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