オレンジ 〜 クーナバラブラン

1987年4月25日。ウィルソン彗星,超新星1987A,南天の天体の撮影・観測のために、我々はオーストラリア入りした。翌4月26日から5月1日にかけて、オレンジ(Orange)〜ナロマイン(Narromine)〜クーナバラブラン(Coonabarabran)に滞在。その間、サイディング・スプリング天文台(Siding Spring Observatory)も訪問。昼は内陸の広大な風景を楽しみ、夜は満点の星空に酔った。
   
クルマへの給油はセルフサービス
我々の移動手段は専らレンタカー。シドニー(Sydney)からオレンジ(Orange)まで、既に250Kmあまりを走行。と言っても、ここはオーストラリア。街と街の間の道路は制限速度が100Km/h。さすがに市街地は遅くなるが、この距離をわずか数時間。もちろん、途中で昼食も休憩もとってのこと。
途中、ガソリンスタンド(Petrol Station)にて給油。大抵はセルフサービス。筆者は初めて自分で給油を体験。今日の日本では見慣れた光景だが……。
   カンガルーの災難
オーストラリアのハイウェーを走行していると、時々目にするのが右写真のような光景。交通事故に巻き込まれたカンガルーの死骸が道端に転がっている。
実はカンガルーは、日中の暑い時間帯には活動せずに木陰で過ごす。そして陽が西に傾きかけた頃にブッシュから出てくる。ほとんど夜行性なのだ。
で、夜間クルマを運転していると、カンガルーはそのヘッドライトに向かって突進してくる性質があるのだそうだ(現地の人のお話)。相手のカンガルーも大きいものでは体重200kgにも達するものがいて、まともに衝突するとクルマの方も大破してしまうのだそうだ。そこで、現地(内陸部)のクルマのフロントには“カンガルーバー”とか“ブッシュバー”とかいうものが付けられている場合がある。日本の大型RV車のフロントグリルバーの原型をここに見ることができる。
     
牧場の風景 オーストラリアのシンボル“風車”
大陸東部の山岳地帯を越えると、広大な草原地帯に出る。見渡す限りの牧場。放牧の牛や羊の群れがあちこちに(左写真)。日本とは桁違いのスケールの大きさにただただ驚嘆。ちなみにオーストラリアでは、人口よりも羊の頭数の方が多いという。
途中で立ち寄ったナロマイン(Narromine)への道。オーストラリアのシンボルの一つでもあるWindmillを見つけ、しばし休憩。
  クーナバラブラン へ 
ナロマイン(Narromine)にて1泊の後、我々は目的地の一つ『サイディング・スプリング天文台』を訪問。そして最終目的地、クーナバラブラン(Coonabarabran)に到着した。
この街のシンボルは、交差点中央の時計台。我々はこの街に4連泊し、連夜、南天の天体撮影に励んだ。
『サイディング・スプリング天文台』
(Siding Spring Observatory)
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天文台のシルエット
我々一行が観測場所に選んだのは、この街の郊外にある飛行場。日没を待ちながら撮影準備を進めていると、遥か西の山の頂にドームらしき建造物のシルエットが目に留まった。まぎれも無く『サイディング・スプリング天文台』のメインドームであった。当時、私は長い望遠レンズを持ち合わせていなかった。右の写真は、高橋製作所製FC‐50(口径5cm,焦点距離400mm,F8屈折望遠鏡)による直焦点撮影の1コマ。
一面の綿花畑
クーナバラブラン(Coonabarabran)一帯には、広大な綿花畑が広がっていた。澄みきった青空の下で、綿花の純白が美しい。

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