1992年12月末。シドニーからパースへと飛んだ我々は、更に次なる目的地、アリス・スプリングスをめざした。そこから、ウルル(エアーズ・ロック,マウント・オルガ)やキングス・キャニオンへと向かうために……。


 12月28日朝。アリス・スプリングスへ向かうべく、パース空港・国内線専用ターミナル(Domestic Terminal)へとレンタカーを走らせた。12月25日より借りていたクルマの走行距離は1637.9km。AVIS(エイヴィス)レンタカーのカウンターでの精算時、走行距離は自己申告。数字を見て、係員は目を丸くし、怪訝そうな顔でクルマに行って再確認してきた。“You are crazy!” 無理もない。ウェーブ・ロックとピナクルズを往復し、更にパース周辺も走り回れば、これくらいはいく。
 空港にてチェック・インを済ませ、アンセット・オーストラリア(Ansett Australia)航空のBritish Aerospace BAe 146-200機へと乗りこんだ。予定よりやや早く離陸。
 離陸して間もなく、眼下には無数の湖が。シドニーからパースへ来た時にもそうであったが、オーストラリアの大地には、干上がった湖がよく見られる。
   
 内陸部に近づくにつれ、地形は次第に険しさを増す。すり鉢状の地形に蛇行しながら川が流れ込む姿や、深く削りこまれた谷。赤茶けた大地のそれは、あたかも惑星探査機が捉えた火星の表面のようである。もっとも、筆者は火星の表面を自分の目で見たことは無いが……。
     
 西オーストラリア州上空からノーザン・テリトリーへと移り、機は更に東へと進む。眼下には巨大な湖。ただし、完全に干上がっている。おそらく、Lake Amadeus(アマディアス湖)であると思われる。地図には“Salt Lake”の文字。確かに白い。この数時間後、アリス・スプリングスからウルルへと向かう途中で、この湖の脇をクルマで通ることになる……。
     
 アリス・スプリングスまであと1時間弱という頃、機が突然ローリング,旋回を始めた。「まさか、墜落!?」と、一瞬思ったが、機内のアナウンスでホッと一安心。なんと、エアーズ・ロック(写真左)やマウント・オルガ(写真右)が窓から見えるように、パイロットが機体を傾けて飛行してくれたのだ。乗客たちは、しばし興奮。小さな旅客機ならではのサービス。
     
 かくして、無事アリス・スプリングスへと到着。ここから更に陸の旅が続く……。




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